派遣法改悪が可視化~渡辺照子さんの雇止めに思う~

2017年12月21日 00時27分 | カテゴリー: 活動報告

2016年5月、私が部長を務めている東京生活者ネットワーク女性部会では
渡辺照子さんをお招きして派遣労働法改悪の構造と今後についてお話を伺いました。

努力家で読書家でもある渡辺さんは、さまざまな資格を得ていましたが、
それでも正社員の道は遠く、3か月更新の派遣を17年間勤め
今年の10月末に契約終了を告げられ、
12月6日に最後の勤務を終えたそうです。

派遣の間は賞与も交通費もなく、今回契約を終了され仕事を辞めても
退職金も1銭も出ません。

私はネット上のニュースで知り、写真で渡辺さんのお顔を見て、
涙が出て仕方がありませんでした。
とても悔しい思いがしました。
素の渡辺さんを存じ上げているだけに、本当に悔しく思いました。

派遣企業のTOPが大臣となり決めた法律。
今回のことで、
働く者の視点ではなく、利益を生む側の視点で作られた法律であることを
改めて思い知りました。

今回の「雇い止め」は、「労働者派遣法」と「労働契約法」という
2つの法律の改正が、大きく影響をしています。
「2018年問題」が指摘されており、
渡辺さんのような「雇い止め」がますます増えると懸念されています。
今回は、その懸念がまさに現実となったのです。

労働契約法では、「有期雇用」でも
「同じ勤務先で契約を更新しながら、通算5年以上働いてきた」
などの条件を満たせば、
2018年4月からは雇用期間に期限のない「無期雇用」への転換を
企業に申し込めると定めていて、
「無期雇用」への転換を本人が希望すれば、
企業側は拒めないことになっているそうです。
しかし、その前に今回のように契約を終了されてしまえば、
そこで終わりですし、
現実には、さまざまな動きがあるようです。

人間が使い捨ての部品のように扱われてしまう、
そんな風に感じました。

ひとり親家庭で、なかなか正規の職に就けない女性、
そうでなくても、非正規の仕事についているのは、
女性がたいへん多いのが現実です。

一方、今は男性の派遣労働者も増えています。
若者も、正規の職業に就きたくても就けず、非正規で働く若者が増えています。

非正規だから悪いというのではなく、
正規で働きたいと思っても、正規の職に就けないということが問題です。

そして、渡辺さんのように17年働いても、ある日突然雇い止めに会い、
退職金もなにもなく、放り出される…

これで、女性が輝く社会、一人一人が大切にされる社会にしようとは
どう考えても、できるはずがありません。

防衛費予算は5兆円を超える勢い。
その一方で、自分で働く意思のある人が働けず、
自分の才能や技術を発揮することもできない。

子どもの貧困を何とかしなくてはと、民間や自治体が
「子ども食堂」や「居場所」を作り、支援をしようとしている一方で、
国は「生活保護基準の引き下げ」の方向を示し、
また、その中で「母子加算の削減」も検討しています。
人間らしい最低限の生活を送るための生活保護のはずなのに、
その生活さえ保障されず、
生活保護の方が高いお金をもらっていると言うなら、
働いても生活保護よりも低い所得しか得られない社会がおかしいのであり、
まずは労働賃金をあげるべきです。

税金や健康保険料は上がる一方なのに年金はカットされ、
障がい者施設の利用者の給食費負担の軽減制度が廃止される可能性、
それにより、障がい者が働いて得る賃金よりも
給食費が高くなる可能性有りうるとの報道。

社会保障に充てるために消費税を8%に上げたはずが、
社会保障はどんどん削られ、
アメリカ軍への思いやり予算には1兆円近くの予算を使い、
総理は国会にもかけずに、海外へどんどんお金をばらまき、
型落ちや難ありのオスプレイやミサイルなどを購入する「防衛費」は青天井。

そんな一方で、弱者切り捨ての日本が
どんどん現実として広がっていることを肌で感じます。

渡辺照子さんは、とても素敵な女性です。
その方を使い捨てにする日本になってしまったことを深く憂います。
それは、いつ自分が当事者になるかわからない、
他人事ではない日本の現実です。

 

派遣労働の現場から見た派遣法改悪の構造と今後 ~渡辺照子さんをお招きして~